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田植え後に米ヌカをまいたら… 私の田んぼの新発見
草を抑えたうえに登熟抜群、一俵増収!

新進株式会社 主任研究員 農学博士 杜 建明
新進株式会社 社長 玉造 和男
平本農場園主 平本 英一

米ヌカの表面施用によって、はたしてどの程度の除草効果があるのかを調べるため、一枚三反区画の田んぼを真ん中で分けて、米ヌカ区と慣行区を設けた。試験は茨城県茨城町の平本農場で行なった。五月一日播種、五月二十九日に田植えのコシヒカリに、米ヌカ区では、田植え五日後の六月三日に、反当たり一六〇kgを施用した。まず、米ヌカ一〇〇kgを少量ずつ水口に散布しながらかん水すると、米ヌカは水にのって水田全体に広がり、やがて沈殿する。二時間以上のかん水を続ける必要がある。その後、アゼを歩きながら、米ヌカが十分届かないところに手散布で六〇kgほど補った。

一方、慣行区では、田植え二日後に、初期一発型除草剤を反当たり一kg使用した。その結果、米ヌカ区では確かに顕著な除草効果が認められた(表1、図1)。除草剤を使った慣行区に比べれば雑草総量は多いが、それでも三倍ほどである。とくにコナギが多かった。水田一年生雑草の代表であるノビエとキカシグサはなかった。アゼナは、いずれの区でも、米ヌカや除草剤の残効が弱くなった七月以降に発芽したもので、被害にはならなかった。米ヌカ区でも、人力除草はいっさいしなくても、大丈夫であった。

米ヌカによる発酵等によって、表層約五mm程度の泥はトロトロの還元層になる。湛水中の土の表面で微生物が繁殖し、酸素が少なくなるため還元状態になる。そのため草の発芽や生育が抑えられる。米ヌカ表面施用は、ノビエ・キカシグサなどをほとんど抑制し、クログワイ・ホタルイなどを大きく減少させ、コナギ・アゼナ・オモダカなどもかなり抑制すると考えられる。

米ヌカ流し込み成功のポイント

米ヌカの流し込み散布の注意点としては、

  1. 水口が風上になるようにして、米ヌカが水にのって、風の力で速く広がるようにすること。そうしないと、多量の米ヌカは水口のまわりにたまる。すると過度の発酵によって、水口付近のイネの根を酸欠にし、腐敗させるおそれがある。
  2. 米ヌカがうまく広がるように圃場を均一に代かきすること。
  3. 米ヌカ散布のタイミングは田植えの四〜六日後に。早すぎると、活着していないイネの害になり、七日以降に遅れると、除草効果が落ちる。
  4. 米ヌカの量は反当たり一〇〇〜一八〇kgがよい。
  5. 米ヌカの質は乾燥した生ヌカがよい。吸水すれば沈殿する。

表1 米ヌカ使用区と慣行区の雑草調査の結果

(20坪当たり、8月10日調査)

処 理 区 米 ヌ カ 使 用 区 慣 行 区
雑 草 本 数/重さ(g) 本 数/重さ(g)
ア ゼ ナ 117/ 50 42/20
オモダカ 13/80 20/215
コ ナ ギ 116/730 16/55
ホタルイ 8/10 0/0
総 量 254/870 78/290

慣行区は6月1日に除草剤を反当たり1?使用

【図1】20坪面積の雑草総量 左: 除草剤使用(慣行)区 ; 右: 米ヌカ使用区

10cmの深水で除草効果アップ

その他の栽培管理法は次のとおり。

栽培密度… 両区とも坪当たり四八株(三〇cm×二三cm)で、一株当たり二〜四本植え。

水管理… 米ヌカ区・慣行区のどちらも、五月二十九日の田植えから八月二日まで水深一〇cm前後の深水管理。八月三日から十二日まで中干し、八月十三日から九月十三日まで間断かん水。その後は落水し、九月二十五日に収穫した。

前期の深水管理は、ヒエ等の防除にも効果がある。ヒエの種子重量は、重いものでも二.五mgで、イネの十分の一しかない。そのため水の中では、発芽しても三〜五cmしか茎葉を伸ばすことができず、酸欠のために枯死してしまうのである。

施肥… まず両区とも、有機肥料として前年のイナワラを圃場に返している。

米ヌカ区では、前述のように六月三日に米ヌカを反当たり一六〇kg(チッソ三.二kg、リン酸六kg、カリ二.二kg)施用し、六月三十日に有機肥料四〇kg(チッソ二?、リン酸三.二?、カリ〇.八?)を茎肥として施肥した。

慣行区では、六月二十一日に硫安一五kg、過リン酸石灰二〇kg、塩化カリ五kgを追肥(チッソ三.一?, リン酸三.四?, カリ三kg)、七月十四日にマグコップ二〇kgを追肥した(リン酸三.四?,苦土〇.七kg)。

防除…詳細は省くが、米ヌカ施用区は強酸性水と漢方生薬を利用、慣行区は通常の薬剤を利用することによって、両区とも、収穫まで顕著な病虫害の被害はなかった。

登熟が良くなって増収

両区の茎数の変化と穂数は顕著な差がなかった(表2)。一株当たりの最高茎数は二六本、有効茎歩合は八六%ほどで、無効分げつは少なかった。

ところが収量は、米ヌカ区のほうが一俵程度多い。これは登熟歩合と千粒重が高いためである。この理由としては、米ヌカ区の根が発達し、倒伏しなかったこと(慣行区では一部に倒伏が見られた)、それに、肥料切れを起こさないことが考えられる。また、米ヌカはイネにとっては、完全完備の有機肥料なので、疎植の場合、元気で活力の高いイネがつくられるのではないだろうか。

表2 米ヌカ区と慣行区の収量構成−米ヌカ区のほうが千 粒重・登熟歩合が高く、収量が多い

栽培区 田植密度
(株/坪)
最高茎数
(本/株)
穂 数
(本/株)
粒 数
(粒/穂)
千 粒 重
(g)
登熟歩合
(%)
収量
(kg/反)
米ヌカ区 48 26.2 22.6 81.75 22.2 91.79 542
慣行区 48 25.8 22.3 81.48 21.1 87.84 485

 

【図2】イネ登熟の姿(9月9日) 左: 慣行区(倒伏あり); 右: 米ヌカ使用区

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